朝五時四十五分・・・
毎日同じ時間に鳴るスマホのアラームで目が覚める。
聞き飽きたメロディーを聞きながら「もう朝か…」と寝ぼけた頭でつぶやきながら重たい体に鞭を打ってゆっくりと起きあがる。
いつもと変わらない朝だ。
今は初冬の12月、今日は一段と寒いせいか、いつもより余計に眠いことだけが唯一昨日と違う所だろう。
そんなことを思っても会社に行かなくちゃいけない。今日も9時半からお客さんのところに行かなければならない。電気ストーブをつけて部屋を暖めながら、テレビをつけて朝のニュースがまだ寝ぼけている頭を素通りする。
ふと気づけばもう六時を十分も過ぎている。そろそろ出る準備をしなければ。。。
いつもと同じように準備をし、着替えをし、身支度を整えて六時四十五分の電車を目指して今日も家を出る。
小説チックに出だしを書いてみました。
人それぞれ色々なお仕事をしているかと思いますが、一般的なサラリーマンの方はこのような生活に近い毎日を送っている方も少なくないのではないでしょうか。
文字に起こすととんでもなく嫌な日々ですね!
「不労所得を得て自由になりたいなー」、「お金持ちと結婚して楽になりたいなー」、「自由な時間がほしい。時間があれば世界旅行に行くのに!」、「お金降ってこないかな!」などをふとした時に思う人は多いのではないでしょうか。
この記事ではヤングリタイア(ヤンリタ、アーリーリタイアともいう)について真剣に検討し、経済的自由を得る為の条件を考えてみました。
経済的自由とは何だ?
経済的自由とは、食べたいときに食べたいものを食べたり、休みたい時に休んだりと他者の制限を受けずに自身の生活を自身の意思を以って自由にコントロール出来る事であると考えます。
仕事を続けていたとしても経済的な心配がなければ(=会社に生活や将来を依存していなければ)今の仕事を続けても自分の考えを基にもっと自由に行動したり、発言したりできるかもしれません。今と同じ繰り返しの生活を取りあえず続けるにしても精神的なもの、気の持ちようは揺ぎ無い経済的なバックボーンが有るのと無いのとでは全然違います。
ここでいうヤングリタイアは経済的な事情を理由に精神的に不自由を感じている状態からリタイアする(=脱出する)という意味合いで考えています。現代人は色々な我慢を強いられていて、自分がやりたいと思う事をある程度妥協しながら生きています。やりたい事は大きなものである必要はありません。10日間休みを取ってオフシーズンに海外旅行に行きたいとか、満員電車を避けて朝ゆっくり出勤したいとかその程度のことで良いのです。
生活をするには月いくら必要?
そもそも生きるためのコストはどれくらい必要なのでしょうか?
ざっくりと試算してみました。
普通の生活に必要な生活費
ここでは一人暮らしの独身社会人を前提として試算をします。
前提条件
- 独身
- 子なし
- 一人暮らし
住宅費
85,000円
どこに住んでいるかでピンキリです。住居費は最もコストがかかる部分です。
東京23区、駅徒歩10分以内、バストイレ別の1Kと仮定するとこの程度になると思います。
食費
45,000円
自炊が出来るかどうかで大きく金額が変わります。朝、昼、夜をそれぞれ500円づつとすると、一日1500円、月45,000円となります。
光熱費
- 水道:2,000円
- 電気:6,000円
- ガス:3,000円
季節で光熱費も変わります。平均すると独り身だとこの程度でしょうか。
計11,000円
通信費
- スマホ代:3,000円
- 固定インターネット代:4,500円
スマホ代は格安SIMかDSDSを想定しています。正直、ドコモやAU、ソフトバンクといったキャリアをメインに使う理由は見当たりません。
固定インターネットはWIMAXや光回線を引くとどうしてもこの程度はかかってしまいます。
計7,500円
日用品費
5,000円
洗剤やトイレットペーパーなどの日用品費です。
雑費
5,000円
その他の雑費です。
生命保険
- 医療保険:1,500円
現役世代については医療保険に入る必要性は極めて乏しいと考えます。都道府県民共済に一口入っておけば十分です。 - がん保険:2,000円
入っておく価値が医療保険に比べたら高い保険です。といっても高額で手厚い保険に入る必要性は乏しいと考えます。通院治療や一時金が出るものを選んで少額で将来のリスクに備えるべきです。 - 傷害保険:1,000円
入っている人は少ないかもしれませんが、最も入る意味のある保険です。日常の突発的な「モノ」や「ヒト」に対する事故に備えます。
計4,500円
社会保険
- 健康保険:30,000円
高いと思いましたか?働いていない人の国民健康保険料は高額なのです。健康保険料は前年の所得の金額により変動します。ここではきちんとした所得がある事を前提に仮置きします。 - 国民年金:16,410円
国民年金の額は一年に一度改定されます。上記金額は平成31年4月~の金額です。
計46,410円
普通に暮らすためのコストはざっくり月25万円
以上合計209,410円となり、合計は約21万円となりました。これに交際費や娯楽費を加えることで普通に暮らすための月間コストが出てきます。
読んで感じられたと思いますが、住宅費と社会保険の値段は極めて高いです。働いているうちは住宅手当がもらえたり、社会保険は会社が半分負担してくれているので安く済んでいます(それでも高いですが…)。
住宅費や食費、交際費は生活水準により異なるので、自身の生活レベルに調整しましょう。
ここでは交際費や娯楽費なども勘案し、月25万円×12か月=300万円を普通の生活に必要な年間コストとします。
(家庭の有る方はプラス10万円の月35万円、年間420万円は最低限必要でしょう。)
生活を成立させるための利回り
300万円を得るにはいくら必要でしょうか?
単純に利回りで算出すると、
- 米国債は約3%ですから、300万円÷3%=10,000万円(1億円)
- 日本国債は0.1%ですから、300万円÷0.1%=300,000万円(30億円)
以上の通り、億単位の資金が必要となります。日本国債の30億円は一生かかっても普通の人は無理ですね。
世の中には高金利通貨などもあり、
- トルコリラは政策金利24%なので、300万円÷24%=1,250万円
となります。これならいけそうと思ったあなた、さすがにリスクが高すぎます。トルコリラはいつ暴落してもおかしくない通貨です。かつてはデノミもしています。
高リスク運用を全否定するつもりはありませんが、生活費を稼ぐという以上は安全資産とリスク資産は分ける必要があります。生活が出来なくなってしまうので。ホームレスにはなりたくありませんよね。
ではどうするか?
きちんとリスクコントロールをする事で、年間5%の利回りを目指しましょう。5%であれば過度なリスクを取らなくても達成できるレベルの水準です。
5%のうち、税金で20%程度とられるので、ネット利回り(手取り)は4%ととなります。
- 必要資金=300万円÷1%=30,000万円
- 必要資金=300万円÷2%=15,000万円
- 必要資金=300万円÷3%=10,000万円
- 必要資金=300万円÷4%=7,500万円
- 必要資金=300万円÷5%=6,000万円
- 必要資金=300万円÷6%=5,000万円
- 必要資金=300万円÷7%=4,285万円
- 必要資金=300万円÷8%=3,750万円
- 必要資金=300万円÷9%=3,333万円
- 必要資金=300万円÷10%=3,000万円
高い利回りを求める=高リスク商品に投資するという事になるので、危ないです。
さすがに1%や2%の利回りではお金が貯まった頃には残りの人生もなくなってしまいそうです。
利回りの一覧を見てわかるように、利回りが低くなるほど加速度的に必要資金が増加します。
ネット利回り4%だと7,500万円必要です。イチから貯めるには随分時間がかかりそうです。
自身の稼げる利回りを高くできればそれだけ早く自由な生活を手に入れる事が出来ます。しかしハイリスクになるので失敗したら不幸のどん底に落ちます。
では、年間の必要資金を200万円にできたらどうなるでしょうか?
- 必要資金=200万円÷1%=20,000万円
- 必要資金=200万円÷2%=10,000万円
- 必要資金=200万円÷3%=6,666万円
- 必要資金=200万円÷4%=5,000万円
- 必要資金=200万円÷5%=4,000万円
- 必要資金=200万円÷6%=3,333万円
- 必要資金=200万円÷7%=2,857万円
- 必要資金=200万円÷8%=2,500万円
- 必要資金=200万円÷9%=2,222万円
- 必要資金=200万円÷10%=2,000万円
先ほどの金額よりは現実的になりました。
生活レベルを落とすと200万円でも大丈夫かもしれません。しかし、それでは本当に最低限の生活になってしまいます。それは人生を楽しむためにリタイアしたのにギリギリの生活をするなんて本末転倒になってしまいます。
ではどうするか?
自身で稼ぐ力を身につける事です。独立して多少なりとも稼げれば人生を楽しむための「経済的自由」という当初の目標は達成できます。
そもそも300万円を自身の力で稼げれば即自由となります。もちろんその道は楽なものではないと思いますが、サラリーマンとして安定しているが制約がついている生活を選ぶか、独立して自身で自由をコントロールできる生活を選ぶか、ひたすら貯金を蓄えて老後に自由を手に入れるかは自分で選ぶ必要があります。どの道を選ぶにしても投資を身につけて少しでも稼ぐ力を身につければ、それば必ず将来のための力となります。
その力をつけるための記事まとめはこちら↓
まとめ
投資で稼ぐ力を付ける事、一人でも稼げる力を付ける事はすべて自己投資です。自分に投資して、自分の価値を上げる事がヤングリタイアへの最短距離なのかもしれません。自分の価値が上がれば勤めながらでも重宝されること間違いなしです。遠回りの様にも見えますが、投資の実践をしながら、目指すべき姿を具体的にイメージし、それを実現するための自己投資を行うことがヤングリタイアや経済的自由への近道だと考えます。
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