金利、急上昇中!住宅ローンはどうすればいい? 変動金利と固定金利

経営と金融
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金利、急上昇中

日本銀行がイールドカーブ・コントロール(YCC)の政策を10年国債利回りの目標は0%に維持しつつも、変動幅を±0.25%程度→±0.5%程度へと拡大させたことにより、10年物国債が急上昇しています。一時は0.5%程度まで+0.25%程度上昇しました。金利上昇により、住宅ローン金利も上昇するのではないかと言われ、一部では混乱が起きているようです。これから住宅ローンのある人はどのように行動すればよいでしょうか?

日本国債10年(6か月チャート)

 

住宅ローン金利の種類と特徴

住宅ローンは30年以上の期間で借入をしている場合が多く、その借入のほとんどが変動金利型です。実際、私自身が本業の貸出業務で扱ってきた住宅ローンも8割がた「変動金利」又は「3年~10年の固定金利選択型」の商品でした。

ざっくりと金利種類を説明すると、

・変動金利型…借入当初から完済までの間、基準金利に応じて金利が変動する。
固定金利選択型…借入当初から選択した期間は固定金利で、その後は自動的に完済まで変動金利型になる。選択できる期間は銀行により異なる。
(全期間)固定金利…借入当初から完済までの間、金利が変動しない。
・変動→固定も固定→変動、固定期間再選択も切替は変更契約を交わせば出来ます。(金利の優遇条件は変わる場合がある)

今後、金利上昇した場合、変動金利型や固定金利選択型の選択期間の満了した人が金利変動の影響を受けます。自分の金利が変動かどうか、固定金利選択型の人はいつ変動に切り替わるのか、選択期間満了後の金利優遇条件などはよく確認しておきましょう。

 

住宅ローン金利、本当に上がる?

住宅ローンの基準金利

住宅ローンの金利は銀行が定めている基準金利に応じて変動します。従って、日本の住宅ローンを借りている人全員が一律で変動する訳ではありません。あくまで借りている銀行ごとに変動します。A銀行で借りている田中さんは金利が上がっても、B銀行で借りている鈴木さんは変わらなかった、ということは起きえます。

よくテレビなどでは「住宅ローン金利は短期プライムレートに連動するから、今回は長期金利の変更なので影響はないでしょう」などとコメントしている人がいましたが、これは間違いです。長期金利が上がると短期金利も上がります。実際、10年よりも短期の国債を見ると、5年物で+0.1%弱、3年物で+0.05%程度上昇しています。

※「短期プライムレート」…銀行が最優良顧客に貸出する際の最優遇貸出金利(プライムレート)のうち、1年以内の短期貸出の金利のこと。略して短プラ。

更に言うと、住宅ローン金利が短期プライムレートに連動するという方程式はありません。基準金利は金融機関ごとに異なります。また、一般でいわれる短期プライムレートの金利は現:みずほ銀行が出している金利水準のことを指します。昔はみずほ銀行の金利に連動していましたが、金融自由化以降は「短期プライムレート」はみずほのレートを参考にして各行が独自に決めています。したがって、同じ「短期プライムレート」という名前でも銀行によって金利水準や内容は異なる場合があります。

各行の変動金利の基準金利の例

実際の基準金利を見てみましょう。基準金利は短プラや長プラ、最近はauじぶん銀行のように「独自に決める」銀行も増えています。独自だと決定の基準が曖昧なので、結構怖かったりしますね。

北海道銀行

・住宅ローン基準金利(変動金利型)は当行長期プライムレート(3年超~5年以内)にもとづき決定する基準金利であり、2013年4月14日以前に融資実行された住宅ローンに適用させていただきます。
・新住宅ローン基準金利(変動金利型)は当行長期プライムレート(1年超~3年以内)にもとづき決定する基準金利であり、2013年4月15日以降に融資実行された住宅ローンに適用させていただきます。

最新金利情報(ローン金利) | 北海道銀行
預金金利の最新金利情報について

auじぶん銀行

市場金利をもとに下記事項を勘案してauじぶん銀行独自の判断で決定します。
・auじぶん銀行が住宅ローンの貸出資金を調達するためのコスト
・auじぶん銀行が住宅ローンの審査・販売に必要な事務および営業コスト
・auじぶん銀行の収益および金融情勢など

用語集 | 住宅ローン | auじぶん銀行

三井住友信託銀行

お借入後のお借入利率は、毎年 4 月 1 日、10 月 1 日の当社の短期プライムレートを基準
として年 2 回利率の見直しを行い 6 月、12 月の約定返済日からそれぞれ新利率となりま
す。

クリックしてhouse.pdfにアクセス

金利は上がるか?

将来の予想はできませんし、住宅ローンは期間の長いローンなので、目の前の一時的な要因で性急に行動するべきではありません。

ただ、インフレ率が日本でも高止まりする状況が続けば今回のような日本銀行による政策修正や利上げが実施される可能性が高いため、住宅ローン金利も上がる可能性は高いでしょう。

一部の専門家は「住宅ローンは銀行同士の競争が激しいから、金利は上げられないだろう」という意見があるようですが、これはウソです。正しくは「今は競争が激しい」です。なぜ銀行が住宅ローン競争しているのかを考える必要があります。

住宅ローン金利競争が起きた理由は、長引く低金利で企業向け貸出も住宅ローン並みの低金利になっていたという背景があります。企業向け貸出は無担保だったり、期間も1~5年と短い&リスクも高いので、安全性や収益性に欠けていました。ならば長期融資で担保も取れる住宅ローンに力を入れようということで住宅ローンの取り合いが起こり、金利の競争が起きました。

今後、企業向けの貸出金利が上がり、国債の金利も上がることになると、企業への融資金利や国債よりも低い金利で住宅ローンを貸出する意味はどこにあるでしょうか?(現在のネット銀行の変動金利住宅ローン0.3~0.5%<10年物国債0.4~0.5%)

金利上昇はジワジワと浸透するので、ある程度浸透した時が住宅ローン金利競争の終わりだと考えます。従って、競争が激しいから金利は上がらないというのは超短期的な視点と感じます。

 

金利上昇への対応策

金利を切替える

変動金利を10年固定金利選択や全期間固定に切り替えると、金利上昇リスクは抑えられます。しかし、変動金利に比べると固定金利は金利が高いです(変動金利の1.5~2.0倍程度の水準)。

本当に変動金利が短期間で現在の固定金利の水準まで上がると考えられるのかもよく考慮する必要があります。今の固定金利の水準まで変動金利が上がらないのであれば、切り替えるメリットはありません。

みてください。家計に余裕のある方はしばらく静観するのもありでしょう。家計に余裕のない方は予想以上の金利上昇=家計の破滅になるので、早いうちに固定金利化して家計が破滅しないように今後のローンの支払額を確定したほうがいいかもしれません。目先の支払額は上がりますが、予想外が起きた時に困らなくなります。金利切替よりも借換えのほうがお得な場合もあるので、借換えも検討してみましょう。

借換えする

借換えをして現状の金利をさらに下げます。低金利の今のうちに金利を下げられれば、金利上昇しても金利は変わらないかもしれません。

借換えをすると諸費用(手数料や登記費用)が掛かりますが、金利が下がればトータルで見ればお得になるケースもあります。近くの銀行や信用金庫に借換相談に行けば銀行がシミュレーションしてくれます。

また、借換えと同時に固定金利選択型にすることも可能ですし、新規借入の優遇金利を受けられます。

今から現預金をためる

借入を返せないから困るわけで、現預金を持っていれば金利が上がったら繰り上げ返済することもできます。今から金利が上がったと思って少し積立預金や積立投信などをしてみるのも手だと思います。本当に金利が上がってきたら、それらを解約して繰り上げ返済することで、返済した分の利息が減ります。手元に資金があると安心にもつながりますよ。

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