銀行に口座開設を断られたー法人口座を作るには?

経営と金融
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起業して法人を設立し、「さっそく口座開設だ!」と思って行ったら、断られた!という経験をした人は多いと思います。現在、法人の口座作成はかなり厳しくなっています。今日は法人口座開設の現状と口座の作り方をお伝えしたいと思います。

法人口座開設の現状

昔は誰でもすぐに作れた

昔は印鑑を持って窓口に行けば即日口座作成ができました。会社によっては口座を作ったはいいけれど、使わずに放置している口座がいくつもあったりしました。今はその感覚で行くと、口座開設理由や目的などをいろいろ聞かれ、かなりのギャップを感じることになります。

何で銀行口座の開設は厳しくなったの?

厳しくなった理由は以下のような犯罪対策が主なものと考えられます。銀行も犯罪の防止のため、様々なことを求められているという事情があります。

使用しない口座が売買され、悪用される事件が増加した

犯罪者に銀行口座を二束三文で買い取られ、オレオレ詐欺や還付金詐欺などの犯罪に利用されるようになりました。還付金詐欺などは社会問題で、警察も頭を抱えています。銀行も警察の犯罪調査に協力しており、かなりの負担が生じています。銀行としても犯罪に使われる可能性が無いことをよく確認して口座開設をしたいのです。

マネーロンダリングやテロ資金調達などの不正な活動を防止するため

不正に売買された口座はいわゆる資金洗浄の中継口座としても使われたりします。世界中の様々な銀行口座から犯罪資金が振込され、さらにそれを違う銀行に振込し・・・といった具合にぐるぐると回っていき、出どころの解明をしづらくしています。

国際的なマネーロンダリング防止の取り組みが進んでいる

マネーロンダリングやテロ資金などの不正活動防止は世界中で足並みを揃えて対応しなければいけない問題となっています。どこかの国が防止対策を怠ると、その国を通じて資金洗浄されるからです。

代表的な国際組織として、FATF(金融活動作業部会)という組織があります。FATFは、マネーロンダリングに関するリスク評価、規制の策定・強化、監視などを行っています。ちなみに、日本はFATFからの審査を受け、最低レベルの評価をつけられています。その理由の1つは、誰でも口座を作れるし、口座を作った後はほぼ管理しないで放置しているからです。

監督官庁(金融庁など)も厳格な対応を銀行に求めている

上記のような犯罪利用や国際的な要請により、銀行の監督官庁の金融庁も以下のような監督をしています。

  1. KYC(顧客の正体確認)の徹底:金融機関は、顧客の実態を良く知ることが求められています。顧客の名前や住所、職業・事業、取引目的などの情報を収集し、それが正当なものであるかを確認することで、不正な取引を防止しています。
  2. 監視体制の強化:金融機関は、顧客の取引を監視するシステムの導入や、不審な取引に対する報告体制の整備を求められています。また、金融庁は、金融機関の監視体制を検査・強化するため、金融庁検査を実施しています。
  3. トレーニングの実施:金融機関は、社員に対してマネーロンダリング対策のトレーニングを実施することが求められています。銀行員が不審な取引に対して適切な対応を取ることができるようにトレーニングが実施されています。窓口で色々聞かれるのもトレーニングの成果かもしれません。

他にも犯罪収益移転防止法という法律で、取引時確認(取引目的や本人確認など)を銀行に義務付けています。

どうすれば作りやすくなる?

自分は怪しい者ではないし、事業のために口座を作りたいんだ!ということを銀行にわかってもらう必要があります。もしその銀行と取引のある知人(優良な取引のある人)などがいれば、紹介してもらうのはかなり強力な手段です。信用力のある人に「こういう事業をしている、真っ当な会社ですよ」と言ってもらえると、少しは安心できますからね。

法人の口座開設には何が必要?

基本的な必要書類は以下の通りです。ちなみに、会社から一番近い銀行の店舗で作るのが原則となっています。

  1. 法人の履歴事項全部証明書(3か月以内のものが望ましい)
  2. 法人の定款
  3. 代表者の写真付きの本人確認書類(免許証など)
  4. 株主名簿
  5. 実質的支配者の写真付きの本人確認書類(免許証など)

※会社への支配力がある人。例えば実質的な業務執行をする役員や25%以上株を保有する人などがそれにあたります。

必要な書類は金融機関によって異なりますから、窓口等でも確認しましょう。

追加で説明書類を準備しよう

事業をやっていることが説明できるものを持っていきましょう。

例えば以下のようなものです。

  1. 事務所の賃貸契約書
  2. 開業届などの官公庁提出資料の写し
  3. 顧客との販売契約書、見積書など
  4. パンフレット
  5. 決算を終えているならば確定申告書・決算書一式

賃貸契約書は法人名義での契約になっているかもポイントです。代表者名義や第三者での契約の場合、法人への転貸が許されているかどうかがポイントとなります。

窓口に行くと、その場では作成できないといわれ、法人の担当者が事務所に訪問に来ることになる場合が多いようです。その時に必要な書類も依頼されると思うので、用意をしましょう。

銀行員が現地確認に来ます

法人が申告した所在地にあり、本当に事業をしているかを確かめるために、法人事務所の現地確認をする銀行が多いです。きちんと事務所としての要件を準備しておく必要があります。

なお、バーチャルオフィスは住所だけのレンタルのため、その場所に実態がありません。かなり厳しい目で見られることが多いです。

例えば、以下のようなものを銀行員は訪問で確認します。以下は一例です。

  1. パソコンやデスクがあるか
  2. 法人の経理資料などが備え付けられているか
  3. 顧客との契約書などの事業の裏付けとなる資料があるか
  4. 物を売る商売であれば在庫はあるか
  5. 法人の看板や表札等はあるか
  6. その他、事業の質問や説明を受け、整合性や信頼性が確認できるか

絶対にしてはいけないこと

上記までの手続きを経ても口座開設を断られる場合もあります。その時は何故作成できないのか、理由を良く聞きましょう。そしてその問題点を解決しましょう。

ここで激高して「なんで作れないんだ!」と暴れても作成はできません。むしろ一生作れなくなり、場合によっては「疑わしい取引として届け出」をされてしまう可能性があります。

また、紹介をしてもらった場合は、紹介者の顔に泥を塗ることになります。

口座開設ができたら、ちゃんと事業に使おう

口座開設時には何に使うのかを届け出ます。「事業費決済」で届け出たら、ちゃんと売上入金したり、経費の支払いをjその口座から行いましょう。銀行はモニタリングをしているので、取引目的に合わないと検知されます。

例えば1店舗カフェを運営している飲食店なのに、1億円の振り込みがあったら「おかしい」と検知されます。なぜそのような取引が発生したのか、理由を聞かれたりします。

終わりに

当たり前のことですが、きちんと正当な事業をやること、事業を一生懸命やりたいと伝えることがとても重要です。この記事がまじめに頑張りたい方が頑張れる一助になったら幸いです。

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